港区の地名の歴史2 港区ポータルサイト参照
南青山(みなみあおやま)
北青山と同じ経緯を経た後、昭和41年(1966)の「住居表示に関する法律」施行により、赤坂青山南町を中心に、赤坂新坂町、赤坂檜町、赤坂高樹町、麻布新竜土町、麻布笄町などの一部をあわせて「南青山」となりました。
南青山といえば、青山霊園。明治5年(1872)年、日本で初めての神道用の公営墓地として青山家の下屋敷跡に開設されました。面積は約26万平方メートル、桜の名所としても有名で、花見の季節には大勢の見物客が訪れます。現在は東京都が管理運営しています。
広大な園内には、大久保利通や乃木希典、志賀直哉、尾崎紅葉、斎藤茂吉、高木兼寛、国木田独歩、内藤鳴雪、吉田茂など、おもに明治期の著名人のお墓がたくさんあります。忠犬ハチ公も、ここに眠っています。
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有栖川(ありすがわ)
広尾は、地下鉄日比谷線の駅名で、町名でいうと西麻布の西側にあります。
このあたりは、広い野原だったところで、天保7年(1836)の『江戸名所図会』の挿絵「広尾原(ひろをのはら)」を見ると、すすきの生い茂った野の道を、馬に乗ったり引いたりする農夫たちと、野遊びを楽しむ男女の行きかう有様が、描かれています。ですから、地名の起こりは広野だったかもしれないのですが、中世の『小田原衆所領役長』(永禄2年(1559))に平尾と出ている地名が、のちの広尾だという推定がありますし、広岡がなまったともいいます。
江戸時代になって、寛文8年(1668)に初めて人家の調べがあり、阿佐布(麻布)村の一部の地名として、なぜか樋蘢(ひろう)と書いたそうです。
それが正徳3年(1713)に町奉行の支配する市街地に編入されてから、広尾町と書くようになったと記録にあります。当時の人家は、今の広尾駅から東の有栖川宮記念公園の入り口付近を中心に、南部坂、木下坂の下へかけての位置にありました。この広尾町のまわりには、南部藩をはじめ大名の下(しも)屋敷や、畑地などが多く、畑は下(しも)渋谷村に属していたところもあります。一般には天現寺橋の向こう岸の方までが、広尾の原といわれていました。
明治5年に広尾町は元大名屋敷や畑地などへ範囲を広げ、古川沿岸の湿地が開拓されて八郎右衛門新田となり、そこを新広尾町と命名しています。住居表示後、広尾は渋谷区側の町名になりましたが、最近は表通りの外苑西通りが地中海通りとも呼ばれています。
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麻布狸穴町(あざぶまみあなちょう)
狸穴町の“まみ(猯)”とは、本来アナグマのことですが、狸と混同されたと思われます。おそらくこの地に棲息していたのでこの名になったのでしょう。また、採鉱のマブ穴(坑道)が起源という説もあります。
昭和22年(1947)の港区成立時についた麻布の冠称が残る、数少ない町のひとつです。一部を東麻布に割譲した後、「住居表示に関する法律」により、東半分が麻布台二丁目となり、西半分が本地名のまま残りました。
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泉岳寺門前(せんがくじもんぜん)
泉岳寺は赤穂浪士のお墓で全国に知られるお寺です。今は都営地下鉄浅草線と京浜急行線の接続駅名に採用されて、次第に地名のようになっています。
新橋や大門など、その土地の所在物が駅名地名になっていくのと同じ例ですが、この駅名は、同線が開通した昭和43年6月21日からなのでまだ新しく、お寺が有名なだけに、地名として感じられるのは、もう少し年月がたってからかもしれません。もっとも、泉岳寺前という停留所名は、路面電車ができた明治36年から、また、もし乗合馬車時代もあったのなら明治5年からということになります。しかし地名のもとをもっとさかのぼると、江戸時代に「芝泉岳寺門前」という町が、今の高輪2丁目11番7号の辺りにありました。これは明治2年に芝車町に合併されるまで、188年間も続いていたといいます。
泉岳寺はもともと外桜田(今の赤坂1丁目の辺り)に、家康に禅の指導をした宗関という僧の隠居所としてあった寺で、寛永18年(1641)の大火に類焼して、今の所へ移転してきました。その時から、境内の門前の一画をさいて、町人をおく町としたといいます。
元禄15年(1702)の赤穂事件以来大いに有名になり、それ以後はこの町も土産物店などができたことでしょう。「それまではただの寺なり泉岳寺」という川柳もあります。
泉岳寺は同じ浅草線の観音様と並ぶくらい有名なお寺です。
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汐留(しおどめ)
「汐留」の地名は、江戸城外堀と海を仕切る堰が「土橋」に設けられていたため、ここからは海の水が外堀に入り込めない、つまり「汐が留まる」ことから付近の地名として使われるようになったものです。
これは、寛永年間(1624年~ 1644年)以後のことで、「汐留」の名は、近世とともに生まれたといえます。
徳川家康の江戸入府以後の町作りによる埋め立てによって陸地化した汐留地区に、初めに屋敷の拝領を受けたのは龍野藩脇坂家で、寛永9年成立の『武州豊島郡江戸之庄図』に初めてその名が記されています。その後も埋め立て工事は引き続き行われ、寛永16年に会津藩保科家、同18年には仙台藩伊達家が屋敷地を拝領し、江戸幕府解体まで続きました。
大名屋敷の敷地は広大であり、これまでの区内の大名屋敷の発掘調査は、その敷地の一部を調査するに留まっていました。しかし、汐留での発掘調査が行われ、藩邸の全面を調査することができることで、これまでつかみ切れなかった江戸藩邸の全体像をつかむことができると期待されていました。
発掘調査の結果、各藩邸地の造成に伴う土留めや棚、建物跡、井戸や木樋等の上下水道施設、地下室や埋桶等の埋設施設、池跡、鹿芥留め等の土杭、石垣等多種多様の遺構とそれに伴う多量の遺物が検出されています。
江戸に置かれた各藩の屋敷には、大藩では常時千人を超えるような家臣が居住していたといわれ、参勤交代による藩主の江戸在府時には、それ以上の家臣が生活していたことになります。これらの屋敷には、各国元から大量の物資が送られてきたことは想像に難くありません。脇坂・伊達・保科の3 藩の屋敷地は、海に直接面していることから、屋敷内に「船入」が設けられ、船で運んできた物資を、直接海から陸揚げすることができました。
また、人々の流入により人口は増大し、百万都市江戸は当時世界最大級の消費地として、さま
ざまな生産物資が全国各地から海と陸を使って運ばれました。遺跡から出土した遺物は、海路・陸路によって産地や国元から直接邸内に運び込まれたものと、邸内に居住するもの等が、必要に応じて江戸市中で購入したものです。それらの遺物は、江戸時代に各藩邸に生きた人々の生活の証しといえるでしょう。
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